コロモジラミ

学名

Pediculus humanus corporis DE GEER

特徴

成虫の体長は雌3.3mm、雄2.3mmで、灰白色。全世界に分布し、和名のように、人の下着についており、針状にとがった口吻を肌につき刺して吸血する。シラミという名の語源は「白虫」からきているといわれるように、空腹時のコロモジラミは白っぼいが、血を吸うと赤くムくれ、やがて赤黒くなる。吸った血の色がすけて見えるからである。 雌雄の区別は尾端で容易にできる。雌では二つに分岐しており、雄では丸くて針状の突起(交尾器)を出している。 成虫は下着の縫目、折目などにひそみ、1日に5〜6回吸血する。1回の吸血時間は15〜20分で、1〜2mgの血液を吸う。ノミは成虫だけが吸血、カやヌカカは雌成虫だけが吸血するのに村して、シラミは幼虫・成虫の雌雄が一生を通じて吸血する。 雌成虫は1日に5〜8個、一生の間に約300個の卵を下着の縫目などに産みつける。卵は0.5×0.3mm、白色をしており、衣類の繊維にこう着している。30℃で6〜7日でふ化する。ふ化した1齢幼虫はまっ白であるが、間もなく吸血するとまっ赤になる。3齢まで経過し、半月後に3度目の脱皮で成虫になる。卵から成虫までが約3週間、成虫の寿命は約1か月である。 コロモジラミは厚着をする秋から冬、春先にかけての季節に大繁殖する傾向がある。 コロモジラミが媒介する発疹チフスは、11世紀の昔から、大きな戦争とともに世界的な規模で大流行をくりかえしてきた。とくに、第1次世界大戦そして第2次世界大戦や終戦後の混乱期での流行は激しく、日本でも終戦後初めての冬から春にかけて数十万人の患者をだした。治療には、テトラサイクリン、クロラムフェニコールのような抗生物質がよく効く。コロモジラミの媒介する伝染病には、発疹チフスのほかにも次の2種がある。塹壕熟は五日熱ともいわれ、病原体はやはりリケッチャの1種で、5日ごとに高熱を出す発作を数回くりかえし、特有な発疹を生ずる場合が多い。回帰熱(再帰熱)の病僚体はスピロへ−タの1種で、コロモジラミの体腔内で繁殖し、つぶされたとき、粘膜や皮膚の傷から感染する。7〜10日の潜伏期の後、高熱を発し、3〜4日後に急に解熱、4〜8日後に再び熱発作をくりかえす。治療には、ペニシリン、またはサルバルサンが有効である。 コロモジラミの成虫や卵は普通の洗濯では死なないが、70℃以上で30分加熱すれば殺すことができる。低温には比較的強い。

害虫ライブラリ・トップページ
コロモジラミ アタマジラミ ケジラミ

ダスキンテック・トップページへ


このページを作成するに当たり、

「原色図鑑
 衛生害虫と衣食住の害虫」

(安富和男・梅谷献二共著
 全国農村教育協会発行)

「都市害虫百科」
(松崎沙和子・武衛和雄共著
 朝倉書店発行)

の内容を引用させて頂きました。