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トコジラミ類トコジラミ(床虱)はナンキンムシ(南京虫)とも呼ばれ、半翅目(HEMIPTERA)の異翅亜目、ナンキンムシ科(Cimicidae)に属する。 トコジラミはもともと日本土着のものでなく、文久年間にオランダから買入れた古船から上陸したものがもとといわれている。現実の問題になり始めたのは、明治10年(1877)、西南の役のとき、北九州小倉の兵営で発見されてからである。その後、明治13年に大阪の連隊、明治15年には名古屋と東京の兵舎に次々にまん延していった。このように、トコジラミははじめ各地の兵舎にはぴこったので「沈台虫」とも呼ばれていた。 トコジラミの原産地は中東らしく、世界的にみても、遠隔地への伝播は軍隊や引越しの家財などと一緒に船で海を渡って運ばれた。イギリスヘトコジラミをはじめて持ちこんだのはローマのジュリアス・シーザーの軍隊で、紀元前54〜55年頃のことだったと推論されているが、確実にヨーロッパ諸国に定着し、はびこったのは16世紀頃からであったという。 ナンキンムシという呼び名のように、中国では古来から猛威をふるっていた。寺島良安の有名な「和漢三才図会」(1713)の中に、”壁虱(だに)”として記載されている。中国渡来の「本草綱目」に出ている臭虫(トコジラミ)の解釈に困って、おそらくマダニにあてはめたものと考えられる。 臭虫という名のように油臭い、いやなにおいをだす。くさい虫として有名なカメムシ類も同じ半翅日に属する仲間であるから、親戚にあたるトコジラミのくささもうなずける。 半親日のサシガメ科(Reduviidae)はトコジラミと近緑である。サシガメ類は小昆虫を捕まえて体液を吸う種類が普通であるが、熱帯地方では人畜から吸血するものが多い。 治療抗ヒスタミンの外用が効く。痒みがはげしい場合は、セレタミンの内服、ステロイド軟膏を用いる。 対策法昼間は狭い隙間に潜み、吸血の機会がなければ出てこない。そのために隠れ場所をみつけ出すのは簡単なことではない。好んで潜入する場所は、柱や腰板の節穴、隙間、割れ目、長椅子、ベッドその他の家具の隙間、障子の枠と桟の隙間、ふすまの枠、壁紙の隙間など。このような場所を重点的に、フェニトロチオン、ダイアジノン、ペルメトリンなどの殺虫剤を噴霧機で残留噴霧する。ペルメトリン、フェノトリンのULVまたはくん煙を併用すると効果は大きい。 全般にトコジラミの侵襲は1戸だけが被害をうけることはまれで、密集家屋の何軒かで同様の被害を受けることが多いから、集団でいっせいに駆除を行うことが必要である。 主な種類トコジラミ |
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このページを作成するに当たり、
「原色図鑑 衛生害虫と衣食住の害虫」 (安富和男・梅谷献二共著 全国農村教育協会発行) 「都市害虫百科」 (松崎沙和子・武衛和雄共著 朝倉書店発行) の内容を引用させて頂きました。 |
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